相続人全員で相続放棄したのに、放棄前の貯金の引き出しが相続財産管理人の弁護士に発覚してしまいました。
離れて暮らす親が亡くなり、残された公正証書遺言をみると、自分には財産を残してくれなかった、又は遺言書に書かれた遺産が予想をかなり下回るものだったらどうでしょう。同居の兄弟が自分に有利な内容を親に無理強いしたのではないか?生前贈与や財産隠しをしていないか?自分は不公平な扱いを受けていないか?など、不信感が深まるのも無理からぬこと。では、こんなモヤモヤをすっきり解決するにはどうすればいいでしょう。
公正証書遺言の効力を否定するのはむずかしいですが、一度、相続問題の経験豊富な弁護士に遺言書を見せ、問題点がないか判断してもらうことをおすすめします。亡くなられた方が認知症を患っておられた場合、かかりつけの病院のカルテを取り寄せて、有効性の確認をするといった例もあります。
親の預金通帳を見せない、不動産の所在を教えない、などの遺産隠しや、資金援助などの生前贈与が疑われる場合は、相続財産を詳しく調べる必要があります。財産隠しや生前贈与は、税務署の調査でバレる可能性が高く、その場合、修正申告を迫られ、隠していた本人ばかりか他の相続人にも追徴課税の可能性が出て来ます。
公正証書遺言であっても、その内容に関わらず、法定相続人には遺留分侵害額請求権があり(残念ながら第三順位の兄弟姉妹にはありません)、法定相続分の半分が確保されます。ただし、権利は1年で時効消滅するうえ、交渉が難航する可能性が高いので、内容証明郵便など証拠が残るかたちで、とりあえず異議申し立てをしておいてから、交渉に入るようにするとよいでしょう。