親御さんなどが亡くなられて2年ほどたってから、申告の有無を問わずにいきなり相続税の税務調査が来ることがあります。
令和元分の申告事績によると、亡くなられた方が138万1093人で、相続税の申告を要した被相続人の人数は、11万5267人となっており、約8.3%の方について相続税申告を要する状況のです。
また、配偶者の税額軽減特例や小規模宅地の特例による評価減は、相続税の申告をして初めて認められますので、申告しなかった場合には特例の適用が認められず、本来は払わなくてよい税金を支払わなければならないことになります。無申告であった事案で、年間で1000件以上の実地調査が実施され(コロナの影響がなかった平成30事務年度では1380件)、調査1件当たりで相続税が897万円を追徴されており、自分は大丈夫と安心するのは禁物です。
そして、相続税を納めるだけの財産を残された被相続人の5人に1人の割合で実地調査があり、実地調査に入られると、約8割の確率で追加で税金(と加算税)を600万円以上支払わされます。調査にはいられなかった人も、たまたま税務署管内により高額な遺産をのこして亡くなった方の相続の調査に税務署員が取られて、調査できない場合もありますので、5人に1人という数字は決して小さくありません。また、より多くの追徴税額を取ろうという税務署員の本能(勤務評価に影響する)から、特に遺産総額が1億円を超えてくると、特に注意する必要があります。
相続税の税務調査には、どのように対応するのか、どこがポイントなのかを知るには、税務署は、どのようにして死亡を知り(相続発生を知り)、財産がどれくらいあるかを知り、重点的に調べるべきとされるかを知る必要があります。
上記数字、下記表は国税庁の統計、税務通信令和3年8月9日記事等により加工して算出した。
低階級 | 中階級 | 高階級 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
相続財産課税価格 | 5000万円未満 | 5000万円~1億円 | 1億円~3億円 | 3億円~5億円 | 5億円~7億円 | 7億円以上 |
調査省略 | 99.5930% | 96.2269% | 84.3142% | 67.7731% | 64.8195% | 59.6782% |
事後処理(行政指導) | 0.0791% | 0.5828% | 0.7390% | 1.0053% | 0.9659% | 1.0575% |
事後処理(実地調査以外) | 0.0477% | 0.2792% | 0.3874% | 0.2656% | 0.3050% | 0.4138% |
机上調査 | 0.0729% | 0.6749% | 0.9064% | 0.4742% | 0.2542% | 0.1379% |
実地調査 処分なし | 0.0590% | 0.2141% | 2.0280% | 4.7610% | 5.3889% | 7.0345% |
実地調査 追加納税 | 0.1482% | 2.0221% | 11.6250% | 25.7208% | 28.2664% | 31.6782% |
税務署が税務調査に入りたくなる申告書があります。
例えば、
当事務所は、弁護士と税理士が在籍しており、また、国税不服審判所の勤務経験がありますので、税務署が何を考えて、何に着眼してくるのかが予想できますので、事前の打ち合わせで税務署員がついてくる質問事項について聞き取りし、対処方法を依頼者とともに検討します。
税務署は、源泉徴収票をはじめとした様々な情報を蓄積しており、その蓄積した情報と申告書を対比して「相続財産が少ない」と疑問を持つと、税務調査に入ることになります。
例えば、
なお、上記は、簡易な判定基準であり、税務調査しなければならない事件が多数ある場合には、さらに詳細に基準で優先順位を決めます。
例えば、
上記以外にも詳細な基準があり、詳細な基準に照らして、実地調査するか机上調査のみで済ますかの優先度合いを判断しているようです。
税務署は、申告書がおかしいから、すぐに実地調査に来るわけではありません。申告書自体の計算誤り、土地の評価方法や評価額が合っているかを調べつつ、
上記の亡くなった方とご家族の入出金履歴から、
照会等して資料を収集します。
税務署は、金融機関等から収集した資料と、申告書の記載と比較して、申告漏れがないかをチェックし、多額な漏れが見込まれるものから優先的に実地調査をしていくことになります。
なお、これは余談ですが、代々続く資産家は、生前からきちんとした相続税対策をされているので調査させる「隙が無い」のですが、一代で資産を築き上げた方や二代目の方の場合には、乱暴な節税策をして税務署の格好の調査対象になることが多いように見受けられます。
税務署は、より多くの税金を取るために、重点的に確認する事項があります。
当事務所は、弁護士と税理士が在籍しており、また、国税不服審判所の勤務経験がありますので、税務署が何を考えて、何に着眼してくるのかが予想できますので、事前の打ち合わせで税務署員がついてくる質問事項について聞き取りし、対処方法を依頼者とともに検討します。もちろん、申告段階から依頼されるのが、一番ではあります。
上記の亡くなった方とご家族の入出金履歴から、
国税局と税務署は、よく本店と支店に例えられますが、税務署では手に負えなそうな事案などの場合は、国税局が調査する場合もあります。
国税局が調査する事案としては、
などが挙げられます。もちろん、上記の場合でも税務署が調査することもあります。
低階級 | 中階級 | 高階級 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
相続財産課税価格 | 5000万円未満 | 5000万円~1億円 | 1億円~3億円 | 3億円~5億円 | 5億円~7億円 | 7億円以上 |
調査省略 | 99.5930% | 96.2269% | 84.3142% | 67.7731% | 64.8195% | 59.6782% |
事後処理(行政指導) | 0.0791% | 0.5828% | 0.7390% | 1.0053% | 0.9659% | 1.0575% |
事後処理(実地調査以外) | 0.0477% | 0.2792% | 0.3874% | 0.2656% | 0.3050% | 0.4138% |
机上調査 | 0.0729% | 0.6749% | 0.9064% | 0.4742% | 0.2542% | 0.1379% |
実地調査 処分なし | 0.0590% | 0.2141% | 2.0280% | 4.7610% | 5.3889% | 7.0345% |
実地調査 追加納税 | 0.1482% | 2.0221% | 11.6250% | 25.7208% | 28.2664% | 31.6782% |
このように、税務署員の話は、雑談に見えても、一切の無駄がなく、申告漏れの財産があるのではないかという意図のもとで組み立てられています。
税務調査の流れから、何を準備するかが見えてくると思います。
亡くなられた方のヒストリーや財産の形成状況を、ご家族の財産など客観的証拠と整合させながら、無理なく申告書記載の財産が総遺産であることを説明する一本のストーリーとして固めておく必要があります。
単に、「相続財産ではなく、実質的にも家族の財産だ」と主張するだけでは、説得力がありませんし、上記主張に沿う証拠を収集してく必要があります。
したがって、実地調査、できれば申告段階から税理士や弁護士、特に弁護士と相談しながら望む必要があるといえます。
務調査立会い27.5万円(調査前日、調査当日などの調査立会いの日当含む)
修正申告が必要な場合。別途33万円~
異議申立て | 22万円+成功報酬27.5% |
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審査請求 | 33万円+成功報酬27.5% |
従来の相続税申告は、富裕層が対象であることから内容が複雑な場合が多く、比較的高額な料金設定になっていました。しかし2015年の相続税法改正により基礎控除額が大幅に引き下げられ、相続税は富裕層だけの問題ではなくなりました。『相続税申告お任せパックプラン』は、改正を機に申告が必要になった、申告内容がシンプルなご遺族にご利用いただきやすい、リーズナブルな価格設定をしています。
遺産総額は下記の合計額になります。
相続人、受遺者の取得財産の合計額 | 純資産価額に加算される贈与財産額 |
死亡保険金等、死亡退職金等の非課税金額 | 小規模宅地等の減額された金額 |
相続人が複数の場合 | 基本報酬合計額の11%加算(ご自身を含め2名の場合は1名分を加算) |
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土地の相続評価額計算 | 1区画につき110,000円 |
税理士法33条2書面作成 | 基本報酬合計額に対して計算 |
申告期限まで 3か月ない場合等 |
報酬合計額の33%加算 |