不動産会社を経営していた父が亡くなり、AさんBさんCさんの3人きょうだいで話し合った結果、法定相続どおりに自社発行株式を1/3ずつ分配することになりました。仲が良かったときには不都合はありませんでしたが、長男のAさんと次男のBさんの間で揉めごとが起き、2人は反目する仲に。Aさんの預かり知らぬところで、次男のBさんは長女のCさんを説得。2人が結託したことで株式の66%を持ち議決権行使を行使し、Aさんは役員を解任されてしまいました。役員報酬を得られなくなったAさんは、持っていても仕方がないと持ち株を手放したいとたちばなに相談しました。
依頼された弁護士は会計帳簿閲覧謄写請求権を請求し、会計帳簿を調査。すると、収益不動産の土地のいくつかが購入当時のままの価額(簿価)で残されているのを見つけました。純資産方式で株式の評価価格を計算し直し、BさんとCさんに交渉した結果、Aさんの納得する価格で譲渡が成立しました。
本来は、いくら仲がいいといっても将来どうなるかはわからないので、自社株式の相続は法定相続で片付けようとせず、被相続人が亡くなる前から対策を講じておくことが大切です。非上場株式の譲渡価格は、圧倒的に買い手に優位性があり、ありえない価格での譲渡を強いられることも少なくありません。しかし、税務や法律の知識を持って調査に望めば交渉の糸口が見つかる可能性があります。
最近は、会社で収益不動産を取得して管理、妻と子供を役員とするのが主流になりつつありますが、2,30年後の相続で、相続人が複数いる場合には今回のケースのようなことが増える可能性があります。そうなってしまわないよう、事前の対策をおすすめします。
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