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債務整理の解決策として「個人再生手続」を選択することが良い場合


個人再生

2020 . 09.12



0.はじめに

個人の債務整理のために、いくつか手段がありますがどのような場合に「個人再生」を選択するのが良いのでしょうか。

その判断の基準などについて解説していきます。

1.債務整理の主な3つの方法

個人の負債整理について、次の3つの解決方法があります。

債務整理の解決方法

A)自己破産申立
 一定の財産を処分し、借金の返済義務の免除を受けるための裁判所の手続き。

B)個人再生申立
 住宅ローン以外の借金を減額し分割払いのうえ完済することで、カットした借金の返済義務を免除の効果を受けることができる裁判所の手続き。

C)任意整理
 裁判所を利用しない、債権者との借金減額などに関する任意交渉とその和解のこと。

  


コラム「債務整理と任意整理」
言葉の意味について解説します。

一般的に、「債務整理」とは借金の整理方法についてのことを指し、「任意整理」とはその借金の整理方法のひとつである、債権者との任意交渉による和解による解決方法を指します。

図表:「債務整理」と「任意整理」の意味の違い

図表:「債務整理」と「任意整理」の意味の違い

2.個人再生手続の特徴

個人再生手続については、次の特徴があります。

個人再生手続の特徴

A)債権の強制的なカット
 債権者との任意交渉である任意整理と異なり、個人再生手続では債権者が持つ債権を強制的にカットすることができます。
 金銭を借り入れている債務者が、①債務の弁済率(免除率)、②分割返済の方法(原則3年、特別な事情がある場合には5年間まで延長が可能)を定めた返済計画案(再生計画案)を裁判所に提出し、その認可を受けることができれば、①で定めた残りの債権は強制的にカットされます。

B)自宅不動産を残すことができる
 個人再生手続には「住宅資金貸付債権に関する特則(以下「住宅特則」)と呼ばれる、住宅ローンを抱えた債務者が、自宅を手放さずに債務整理を行うことができる制度があります。
 再生計画の中で住宅資金特別条項を定め、住宅ローンは従前どおり返済し、その他の債務については再生計画にのっとって返済を行うことで、住宅を守ることができます。実際に多くの方が利用し活用されています。

C)職業の資格制限がない
 自己破産手続により破産手続開始決定を受けると、警備員や生命保険の外交員など一定の職業に就くことができなくなります。
 しかし、同じ債務整理のための個人再生手続において、そのような資格制限はありません。

  

3.個人再生手続を選択するかどうかの3つの視点

債務整理には3つの手段があります。

しかし、どのような場合に「個人再生手続」を選択するのが良いのでしょうか。
各債務整理の手段と比較しながら、個人再生を選択することが良い場合について解説します。

3-1.返済できる能力

現在、無職で全く収入がない、あるいは返済していくための金銭確保が難しい場合には、自己破産申立による債務整理を検討します。

一方で、現在パート・アルバイトなどの職に就いており「一定の収入がある」場合には個人再生申立や任意整理による解決を検討します。

これらの手続きは返済を前提にした解決手段であるため、安定した収入があることかどうかが重要になってきます。

返済能力による債務整理方法の判断

返済能力による債務整理方法の判断

3-2.返済額による判断

自己破産申立の場合、免責許可決定を得て確定すると借金返済の義務が免除されます(事実上、借金がゼロ)。

個人再生申立は、基本的には5分の1程度まで借金を減額(最低弁済額は100万円)できるというメリットがあります。

任意整理では、利息制限法での利率による引き直し計算後の残高以上に借金を減額することは困難です。

このように債務整理の手段によって、借金免除の程度が異なります。
生活再建のために、どの程度の負担、各債務整理のデメリットをどこまで受け入れることができるかを検討し判断することが大切です。

3-3.自宅を守りたいかどうか

自宅不動産を手放さなさずに、借金整理を行えるのが個人再生の最大の特長です。

しかし、負債の原因のひとつに「住宅ローン」の返済が挙げられる場合には、そもそも生活水準に見合った物件ではなかった、という可能性があります。

住み慣れた自宅を手放すのは、気持ち的に難しい場合もありますが、あまりにも執着しすぎると普段の生活自体がままならなくなる可能性があります。

住宅ローンを払い続けることに不安がある方は、生活水準を客観的に見つめ直すことが大切です。

一度、次のような家計収支表をつけ、無駄な支出がないか、次月への繰越残高に余裕はあるのかなど検討してみてください。

(参照:大阪地方裁判所「家計収支表(個人再生用)」)

(参照:大阪地方裁判所「家計収支表(個人再生用)」)


どうしても自宅不動産を守りたい、返済を続けていく安定した資金(収入)があるということであれば、個人再生申立を選択されると良いでしょう。

4.個人再生手続を選択すべきかを「具体的なケース」別で解説

具体的に、どのようなケースの場合に個人再生申立を選択することが良いのでしょうか。具体的な事例をもとに解説します。

4-1.住宅ローンを組み購入した自宅に住み続けたい場合

先ほどからの繰り返しになりますが、自己破産申立は原則自宅を手放す必要があります。
そのため、個人再生申立または任意整理を検討することになります。

しかし、任意整理は大幅な負債の減額は困難である一方、個人再生は強制的に債権者の債権をカットできるメリットがあるため、個人再生による生活再建を図るほうが望ましいケースと言えるでしょう。

4-2.負債の原因がギャンブルで、自己破産申立による免責不許可の可能性がある場合

自己破産申立により免責許可、その確定があると借金の返済義務を免除されます。

裁判所は免責するかどうか、免責不許可事由がないかを確認し、該当するものがなければ原則免責許可を出すことになっています。

なお、免責不許可事由に該当する行為があったとしても、裁判所の裁量で免責許可が認められる可能性があります。

個人の自己破産申立における主な「免責不許可事由」

財産を隠す/廉価処分(例:クレジットカードで購入した商品券を不当に安く換金し現金を得る)/浪費(無駄遣い:飲食・飲酒、投資、ネットワークビジネス・マルチ商法、暗号資産(仮想通貨)、商品購入など、賭博:パチンコ・パチスロ、競馬、競輪、競艇、麻雀、宝くじ、FXなど)/支払い不能状態での一部の債権者だけへの返済(偏波弁済:へんぱべんさい)等

しかし、自己破産以外の個人再生申立、任意整理にはこうした事由は存在しません。

そのため、免責不許可となる可能性が高い場合の債務整理については、個人再生、任意整理を検討するのが良いでしょう。

なお、「浪費・ギャンブル」の場合には、それらの行為のみで免責が認められないというわけではなく、それらの行為によって、「著しく」財産を減少させるか又は「過大な」債務を負担したという要件が必要になりますのでご留意ください(法252条1項4号)。

4-3.現在、警備員や生命保険外交員で生計を立てている場合

自己破産申立による破産手続開始決定を受けると、一定の職業に就くことができなくなる「資格制限」について先ほど説明しました。

免責許可決定が確定すれば、再びその職業に就くことが可能ですが、その間収入が無くなる可能性があります。

しかし、個人再生や任意整理についてはこうした資格制限がないため、これらの2つの手段を検討することになります。

4-4.債務の返済内容について反対する大口債権者がいない場合

任意整理は、債権者との個別の和解による解決手段です。

そのため特に生活困窮の原因となっている大口の借入先と和解に至ることが難しければ、任意整理による解決は難しいと言えます。

また、個人再生申立(小規模個人再生の場合)において、再生計画案(返済の計画案)の内容に同意しない債権者(債権者数で半数以上、債権額で2分の1を超える)の反対がある場合、手続に支障がでる可能性があります。

自己破産申立の場合は、債権者の同意は手続の中で必要とされていません。

このように、借入先の同意が得られそうかどうか、という点について検討のうえ、手続に支障が生じる可能性が低いようであれば個人再生申立を選択するのも良いでしょう。

5.まとめ

負債整理について、どの解決手段をとるべきか各債務整理のメリット・デメリットを理解し、生活状況などを含めて検討することが大切です。

苦しい生活状況の中にあって、自宅を手放したくないという思いが強いほど個人再生申立に固執される方がおられます。

弁護士に相談するなど客観的な立場からアドバイスを受けることで、今一度冷静になって最適な解決策を見つけるのも良いかもしれません。

当事務所でも法人破産、経営者・個人の債務整理についてアドバイスをおこなっていますので、お気軽にご利用ください。

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