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解散と清算の違いについて解説


法人清算

2020 . 09.12



0.はじめに

会社の「解散」と「清算」の違いについて解説します。

1.会社の解散と清算の違い

会社の「解散」とは、会社の事業活動をやめることを指し、「清算」とはその会社の財産を清算し、債権債務を整理することを言います。

たとえば、株式会社を廃業する場合の手続として、通常清算手続(資産超過)、特別清算手続(債務超過)があります。
会社の資産をお金に換え、債権者に対する弁済をおこない、会社を閉じる手続です。いずれも株主総会の「解散」決議(特別決議)をもって、清算手続をスタートすることになります。

図表「株式会社の清算手続」

図表「株式会社の清算手続」

2.会社の解散

株式会社の「解散」の原因として、次の事由が挙げられています。

会社法 第471条 株式会社は、次に掲げる事由によって解散する。
 一 定款で定めた存続期間の満了
 二 定款で定めた解散の事由の発生
 三 株主総会の決議

 四 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
 五 破産手続開始の決定
六 第824条(会社の解散命令)第1項又は第833条(会社解散の訴え)第1項
の規定による解散を命ずる裁判

2-1.会社の清算事務をおこなう「清算人」の選任について

会社を廃業することを決意し、解散により清算手続をおこなう場合、その株式会社の資産・負債を整理し、最終的に法人格を消滅させるまでの手続をおこなう「清算人(せいさんにん)」を選任(普通決議)します。

この清算人については、通常、従前の取締役がスライドして清算人となる場合が多く、ただし、①定款に定められている場合はその者、②株主総会の普通決議と本人の承諾がある場合の本人、③、裁判所により選任された者(設立無効の判決等があった場合)が清算人となる場合もあります

但し、①法人、②成年被後見人もしくは被保佐人、③会社法、証券取引法,破産法その他の一定の法律に定められた罪によって刑に処せられ、その執行を終わった日(又は執行を受けることがなくなった日)から2年を経過していない者、④ ③以外の罪によって禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者(又はその執行を受けることがなくなるまでの者。ただし、この場合、刑の執行猶予中の者は含まれない)は、清算人になることはできません。

なお、清算人は何人でもかまいませんが、定款により監査役会を置くことになっている株式会社は、清算人会の設置、3人以上の清算人が必要となっています。

清算人会では代表清算人を選ぶことになっています。

この清算人の報酬は、定款又は株主総会で決められますが、裁判所による選任の場合には、同裁判所が報酬を決定することになります。

無事、清算人が選任された際には、2週間以内に清算人選任登記をおこないます。

2-2.清算人の解任について

裁判所が清算人を選任した場合を除き、株主総会でいつでも解任することは可能です。

また、重要な事由があるときは、裁判所は株主の申立てにより、清算人を解任することができます。

社法479条(清算人の解任)※いずれも清算株式会社

会社法479条(清算人の解任)※いずれも清算株式会社

3.会社の清算手続

3-1.会社の清算手続は「通常清算」と「特別清算」

廃業する場合には資産を換価し、債権者に弁済をおこなう清算手続において、大きく2種類に分かれています。
会社の資産が、負債を上回っている「資産超過」の場合に利用できる通常清算手続。
会社の負債が、資産を上回っている「債務超過」の場合に利用する特別清算手続があります。


---| 通常清算手続の流れ |---

① 株主総会の開催
 ・解散の特別決議
 ・清算人の選任
② 登記手続
 ・解散登記
 ・清算人選任の登記
③ 各種異動届
 ・雇用保険適用事業所廃止届/健康保険・厚生年金保険被保険者喪失届等
④ 官報公告(※官報…国が発行する機関紙)
 ・解散公告
⑤-1 税務申
 ・解散事業年度の確定申告
⑤-2 税務申告
 ・清算事業年度の確定申告
⑤-3 税務申告
 ・残余財産確定年度の確定申告
⑥ 清算事務
⑦ 清算結了登記(清算手続終了)

3-3.会社の特別清算申立

債務超過の場合における特別清算手続は、裁判所を利用した手続となっており、次のような流れで会社を閉じることになります。


---| 特別清算手続の流れ |---

① 裁判所へ申立て
② 特別清算開始決定
 ②-1 負債額の確定
 ②-2 協定案の作成
③ 債権者集会
 ③-1 協定案否決の場合、破産手続へ
④ 裁判所による認可決定
 ④-1 不認可の場合、破産手続へ
⑤ 債権者への弁済
⑥ 終結決定
⑦ 終結登記


4.まとめ

以上のように、解散と清算はその内容がことなります。

なお、会社の廃業のための手続は、ここで解説した「通常清算手続」「特別清算手続」以外にも破産、民事再生、会社更生などの方法があります。
これまで経営を頑張って続けてこられた経営者の方において、いつどのようにして廃業の決断をすべきか難しいと思います。

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