韓国籍・中国籍でも、日本の裁判所で自己破産申立することは可能か
個人破産
2020 . 09.12
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2020 . 09.12
たちばな総合法律事務所
税理士法人羽賀・たちばな 代表税理士
弁護士・税理士 山田 純也
大阪弁護士会所属/登録番号:38530
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:145169
東京国税局(国税専門官)で銀行/証券会社などの税務調査に従事。弁護士資格取得後、大阪国税不服審判所(国税審判官 平成25年~同29年)として国際課税、信託に係る案件、査察関連案件等に従事し、企業内弁護士を経て現職。破産管財人業務経験があり、法人破産、代表者個人の借金問題への対応実績多数。
日本に居住する外国籍の方において、日本国内の金融機関、消費者金融などで借入れをし、返済が難しい場合に自己破産申立をすることは可能でしょうか。
このコラムでは、外国籍(韓国・中国など)の方が自己破産申立することは可能かどうかなどについて解説します。
結論として、日本に居住などを有する外国人であれば、日本人と同様に自己破産申立てすることは可能です(破産法3条、4条)
これは外国法人であっても、日本法人と同一の地位であると破産法上明記されています。
なお、自己破産したとしても、① 強制送還されることはなく、② 在留資格を取り消されることはありません。
参照:破産法
自己破産申立の書式は各裁判所で用意されていることがあります。
例えば、大阪地方裁判所の書式においては、特に日本人、外国人の別に関係はなく、外国籍かどうかの記入箇所があるだけで申立書の内容に大きな違いはありません。
日本人か外国人であるかに関係なく、自己破産申立において外国に在る資産も含めて、債務超過かどうかを裁判所は判断します。
参照:破産法
ここで、特に問題となりやすい次の点について、予め整理しておく必要があります。
<負債関連>
① 出身国など海外において、債権者(個人/法人)はいないか
※ 海外に債権者がいる場合、その連絡先をまとめる
外国籍の方が日本で破産・民事再生を行った場合であったとしても、それのみで強制退去となることはありません。
強制送還される場合は犯罪を犯したときですので、破産等の有無は無関係です。「これはこれ」「それはそれ」の世界です。
次に、永住権等については一定の考慮が必要です。
確かに、破産・民事再生自体が永住権等に影響を与えることはありません。
したがって、すでに永住権を得ている人には問題がありません。
しかしながら、これから永住権を取得しようとしている人は留意する必要があります。
すなわち、永住権の取得には「日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。」という要件を具備する必要があるのですが(法務省「永住許可に関するガイドライン」参照)、破産により安定した生活が見込まれないと判断されるおそれがあります。
したがって、永住権を取得しようと考えている方は、永住権の取得を破産等の申立に先行する必要があるといえます。
以上のように、破産法上も在留外国人の方であっても日本人同様に自己破産申立を行うことが可能です。
但し、海外に財産がある、債権者がいるような場合には、手続きの終了まで時間がかかることが予想されます。
そのため、事前の調査などしっかりと行い、手続き自体がスムーズに進むよう準備することが大切です。
このような場合には、一度お近くの弁護士までご相談ください。
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