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法人破産における代表者・社長の責任と義務の範囲


法人破産

2023 . 02.13

 

執筆者【 弁護士・税理士 】
たちばな総合法律事務所  代表
税理士法人羽賀・たちばな 代表税理士
弁護士・税理士 橘髙 和芳

 大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
 近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

京都大学法学部在学中に司法試験現役合格。弁護士登録後、国税不服審判所(国税審判官 平成24年~同27年)を経て、現職。担当する企業法務案件が「金融・商事判例」など専門誌に掲載された実績。破産管財人業務経験があり、法人破産、個人破産の相談や申立の実績多数。


たちばな総合法律事務所
税理士法人羽賀・たちばな 代表税理士
弁護士・税理士 山田 純也

 大阪弁護士会所属/登録番号:38530
 近畿税理士会所属 税理士/登録番号:145169

東京国税局(国税専門官)で銀行/証券会社などの税務調査に従事
。弁護士資格取得後、大阪国税不服審判所(国税審判官 平成25年~同29年)として国際課税、信託に係る案件、査察関連案件等に従事し、企業内弁護士を経て現職。破産管財人業務経験があり、法人破産、代表者個人の借金問題への対応実績多数。

法人破産における代表者の責任の範囲


法人の代表者とは、会社や法人の代表取締役、代表理事のこと
を言います。

このコラムで解説する「代表者」とは、法人破産手続における義務を負担するなど法律上の代表者のことです。

法人・会社が破産した場合、その代表者にどのような責任や義務が発生するのかについて、弁護士が解説します。

法人の「負債」に対する責任

会社内で、「会長」「社長」と様々な役職名を設けていることがありますが、法的手続を経て選任された代表者であるである代表取締役、代表理事の責任について解説します。

法人負債の返済義務はない

法人と個人の負債、資産なども法律上区別して取り扱われるため、代表者に法人の負債返済の義務はありません。

1人会社のように、事実上「会社=代表者」となるケースでは、債権者から買掛金支払いや事業資金の借入れ返済について直接督促されることもあると思います。

ただ、代表者個人としては、法人の負債返済を個人としても「義務」を負っていると感じるかもしれませんが、法律的に返済義務はありません。

社長・代表者に責任が発生するケース

原則には例外はつきもので、代表者に法人の責任を負うケースがあります。

法人の連帯保証をしている場合

さきほど、法人の負債について返済の義務はないと説明しました。

しかし、代表者が法人の借入れや買掛などの保証(連帯保証契約)をしている場合には、返済義務を負います。

そのため、法人の借金・負債について連帯保証をしている場合には、代表者自身も自己破産などの債務整理手続をとることが多いです。

当事務所の解決例(代表者の破産)

当事務所でサポートさせていただいた法人破産の解決事例において、法人破産と同時に代表者が自己破産をした事例は数多くあります。

スポーツクラブの代表者

この方は、法人がスポーツクラブ施設を建設時にその建築資金を借入れ、その際に代表者個人が保証人となられました。
代表者個人でも生活資金の借入れもあったことから自己破産申立を選択されました。

このケースの特異な点は、2つありました。
1つ目は法人が賃借していた建物の動産の撤去などの原状回復に多大な時間と費用を要し、その準備に苦労した点があります。

2つ目は、法人・個人の破産手続が終結して1年ほど経過した後に、税務署の徴収部門から代表者個人あてに滞納税金の納付の問合せがあったことでした。
当事務所の弁護士は、代表者から相談を受けて、税務署は代表者個人が免責決定を受けた事実を把握していないか、第二次納税義務を疑っているかもしれないと予想して、弁護士と代表者とが税務署に赴いて、破産に至る経緯や個人も破産して免責決定を得ていること、破産管財人による否認権行使事由が無かったことを説明したところ、税務署の疑問点は解消され、終了となりました。

輸入業の代表者

この方は、アパレル関連の輸入業などをおこなう法人の代表者で、法人の借入について保証をしていませんでした

ただ、コロナによる売上減少の事態から、法人は、日本政策金融公庫から運転資金の借入れをし、代表者個人が連帯保証人となって、再起を期しました。
残念ながら、売上の回復が想定よりも下回り、このまま事業を継続しても、破産申立費用も捻出できないと考えられて、当事務所に法人破産と同時に代表者個人の破産申立を依頼されました。

食材の委託販売の代表者

この方は、個人事業から合同会社を立ち上げるも、代表者が体調不良にて事業運営の継続が困難になり、個人名義の借入が多く、個人の債務について個人再生申立を行い、法人はなんとか事業を継続していました。

もっとも、代表者個人の体調不良が続き、法人として事業ができなくなり法人破産、個人破産の申立をしました。
このケースの特異な点は、破産手続きが終わり個人も免責決定を受けた後に、買掛先が代表者個人に対し、委託販売の商品を横領したとして損害賠償請求の裁判を起こしてきたことです(買掛先は、故意による損害賠償請求であり、免責の対象外であるとの主張でした。)。

買掛先は、破産の依頼を弁護士にする前に、代表者個人の自宅に押しかけて、家族に保証人になれなど言い、あまつさえ家族に危害を加えるかのような脅迫までした常軌を逸した方でした。
結局、裁判官の勧告もあり和解で終了することになりました。

無限連責任社員

主な法人の種類として、① 株式会社、② 合同会社、③ 合資会社、④ 合名会社があります。

この中でも、③ 合資会社の無限責任社員、④ 合名会社の社員は、法人が負債を支払うことができなければ、個人もその返済義務を負います(会社法580条1項など。なお、合資会社の無限責任社員に対して、出資額の範囲で責任を負う社員を有限責任社員と言います。)。

そのため、法人の滞納税金や社会保険料の支払いを破産法人が支払えない場合、合名会社の社員、合資会社の無限責任社員は納付しなければなりません。

なお、無限責任を負う法人の例としては、上記の合同会社のほかに、「税理士法人」「弁護士法人」「弁理士法人」「司法書士法人」「行政書士法人」「社会保険労務士法人」及び「土地家屋調査士法人」などがあります。

法人の滞納税金(第二次納税義務者)

法人破産などにより本来の納税者が滞納税金を支払えない場合に、一定の要件を満たす特定の第三者が納税義務を負うことがあります。
この第三者のことを「第二次納税義務者」とも言います。

一定の要件を満たす例として、破産法人の事業を、代表者個人や生計を一にする親族にタダ又は不当に安い値段で譲渡して、事業が継続されている場合があります。

この場合、事業を譲り受けた者は、第二次納税義務者として、税務署から法人が負担していた税金(法定納期限より1年前以降の税金)の支払いを求められる可能性があります。

上記のスポーツクラブの代表者も、税務署が事業譲渡による第二次納税義務の存在を疑った例といえます。

法人の納税猶予・分納のために納税保証書を提出している

代表者個人が、税務署に法人の税金納付の期限を猶予、分納を依頼するために納税保証書を提出している場合、法人破産後においても、代表者個人が税金を納める義務があります。

さらに、代表者個人が破産して免責決定を得ても、納税保証した場合の支払義務は消滅しないので、注意が必要です。

参照 | 国税庁[手続名]納税の猶予等に係る担保の提供手続(保証人)
納税の猶予等に際し、保証人を担保として提供する手続です。

法人の「負債以外」に対する責任

法人への損害賠償責任

くり返しになりますが、代表者は経営に失敗し法人を破産させた場合でも、原則として損害賠償責任を負うことはありません

しかし、重大な過失などにより法人財産を散逸させてしまった場合などには、損害賠償を請求される可能性があります。
法人の代表者に対する損害賠償請求の権利は、破産会社の代理人である破産管財人が持つことになります。

重大な過失とは「ほんの少し注意すれば防げた」というはなはだしい注意散漫を意味し、例えば会社の財産を代表者個人のギャンブルにつぎ込んだり(裁量権の逸脱)、回収見込みがない債権や財産的価値がない絵画を鑑定することなく高値で購入したり(裁量権の濫用)などの場合には、代表者個人は、個人として法人への損害賠償責任を負います(破産管財人から、破産法178条の役員査定制度に基づく損害賠償請求を受けます。)。

また、代表者以外の役員は、代表取締役を監視しなかったとして、破産管財人から役員査定制度などにより損害賠償請求を受うることもあります(例えば、代表者の配偶者が取締役の場合で、代表者と一緒に会社の財産をギャンブルに使用した場合は損害賠償請求を受ける可能性が高いです)。

もっとも、法人・代表者個人の双方が同時に破産申し立てをする場合、財産を有しない代表者個人に損害賠償請求をしても回収が見込めないので、役員査定制度による損害賠償請求の件数は、破産申立件数と比較すると多くはありません。

ただし、裁量の逸脱・濫用により法人の財産・信用を毀損する行為は、代表者個人の破産において、免責不許可事由のうちの一つとして考慮されますので、破産管財人から賠償請求を受けなかったという事実は、免責不許可にならないという事実に結びつくわけでは全くない点に注意が必要です。

法人から借入れ

法人から貸し付けを受けている場合、代表者個人は法人に返済義務があります。

法人破産申立後、裁判所は破産会社の財産の管理処分をおこなう破産管財人を選任します。
代表者個人は、この破産管財人から、貸金返還を求めて書面での通知、返済に応じない場合には訴訟を提起される可能性があります。

 

債権者の財産的利益を害する行為

代表者が、ついやりがちな行為があります。

法人資産を個人に移す
一部債権者、取引先のみへの返済する。
 親族にのみ優先的に返済する(偏波弁済)

これらの行為は破産管財人により否認されることがあります。
破産管財人による否認権行使がなされると、おこなった行為自体が取消しされます。

例えば、法人名義の不動産を不当に低額な金額で、代表者親族の名義に変更した場合。
支払不能状態であるにも関わらず、懇意にしている取引先への買掛金の支払いや、親族からの借入についてのみ返済をおこなう場合があります。
これは偏波弁済(へんぱべんさい)といって、債権者を平等に取り扱う破産手続きにおいて許されない行為とされています。

また、こうした行為は詐欺破産罪(破産法265条第1項)として刑事責任を問われ、「刑事罰(1ヶ月以上10年以下の懲役、1000万円以下の罰金の一方または両方)」を受ける可能性があります。

法人破産申立に関する代表者の職務

法人破産申立や手続における、代表者の責任は次のとおりです。

法人破産申立における社長・代表者の立場

法人破産申立は、法人代表者など一定の方に限られています。

法人破産手続の申立ができる方

① 法人自身(債務者)
② 法人の代表者や理事(準債務者)
③ 法人の債権者(債権者破産申立)
④ 監督庁(銀行など一部の法人破産のケース)

法人代表者は、申立権者として法律で定められており、このことからも申立全体に関与していくことが想定されています。

法人破産申立の準備(取締役会・理事会)

法人破産申立の準備段階で、代表者が対応するべきものは次のとおりです。

① 法人破産申立の費用の準備
② 法人破産申立書の作成と必要書類の収集

法人破産手続の利用には、費用がかかります。
申立手数料と、破産管財人の費用としての予納金です。
予納金は各裁判所の運用により異なります。
また、予納金など裁判所にかかる費用は減額、分割支払いは不可能であるため、事前に裁判所に確認し、法人から費用を工面できるかどうか検討が必要です。

なお、これ以外にも、弁護士に依頼する場合には弁護士費用がかかります。
これら法人破産にかかる費用については、次のコラムで紹介しています。

参照 | 会社の法人破産手続にかかる全費用の詳細と、支払えない場合の対応方法
法人破産にかかる「裁判所」費用は20万円~、弁護士費用100万円~が相場・めやすとなっています。また、費用を工面するための方法についても解説しています。

また、法人破産で必要となる書類の詳細については、次のコラムで紹介しています。

参照 |法人の破産申立手続の「必要書類」は何がどこまで必要?
法人破産で準備が必要な書類について解説しています。

破産管財人への協力義務

破産決定後に選任される破産管財人の業務への協力義務があります。

また、破産管財人の業務に関わらず、破産申立後の裁判官との面談(破産審尋)や、債権者集会への出席など、誠実に対応することが、代表者には求められています。

法人破産後の代表者

法人破産後、法人代表者はどうなるのでしょうか。
個人の負債をどうするのか、当事務所が良く相談を受ける内容をもとに解説します。

代表者の借金整理が必要な場合

法人破産申立をする場合、代表者自身も負債をかかえていることが多く、借金整理をおこない生活再建を目指します。

個人の借金整理方法

個人の借金整理には次の方法があります。

自己破産宣告申立
一番多く利用されているのは「自己破産申立」です。
事業者であった代表者の自己破産手続では、法人同様に破産管財人が選任されることがほとんどです。
また、法人と同時に個人も申立するため、法人と同じ破産管財人が選任されます。

自己破産手続では、一定の範囲で財産を手元に残すことができます。
また、持ち家についても親族への任意売却などをおこなうことで済み住み続けられる場合もあります。
イメージの悪い自己破産手続ですが、最大のメリットは、税金や非免責債権などを除いて、債務をゼロにすることができる点にあります。

詳しくは次のコラムで解説しています。

参照|自己破産でどれくらい手元に財産・家財道具は残せるの?(自由財産について解説)
自己破産手続において、手元に残せる財産とその範囲について解説しています。

参照|自己破産手続における持ち家の処分と住み続ける方法
自己破産手続における持ち家(自宅)の処分方法と、住み続けたい場合の方法について解説しています。

個人再生申立
個人再生とは、負債を大幅に圧縮し、圧縮した金額を原則3年かけて返済をおこなう手続きです(やむを得ない理由がある場合には、5年を限度として返済期間が3年から延長されます)。

この返済にあたり、住宅ローンの借入先である金融機関には、従前どおりの内容で支払いを続けることで、申立人の所有名義のままで済み続けることが可能です。
そのため、どうしても現在の住まいを確保したい方にとってメリットの大きい手続となります。

但し、個人再生手続は3年間決まった金額を返済することが必要なため、再就職し定職についた(安定した収入がある)、家族の継続的な支援があるなど「確かに支払いを継続できる」ことを裁判所に示す必要があります。

 

任意整理
負債総額を減額、将来発生する利息をカットするなど、返済額や返済条件の負担を軽くするための交渉をおこないます。

裁判所を通さない任意での話し合いのため、柔軟な内容で返済方法を決めることができますが、一方であくまで交渉は任意であるため、債権者から交渉を拒否されると話し合いすらおこなうことはできません。
任意整理も個人再生と同様に、返済のための原資を確保する必要があります。

代表取締役社長からよくある質問

法人代表者からよくいただく質問は次のとおりです。

社長・代表者だけ、法人だけ自己破産することは可能か?


代表者個人から、法人のみの破産、代表者個人のみの破産の相談を受けることがよくあります。
理論上は、法人と代表者個人は、別人格のため、法人のみの自己破産、代表者のみ自己破産を申し立てすることは可能です。

つまり、法人は破産するが、代表者は破産をしないという選択、法人は破産しないが、代表者は破産するという選択について、いずれも可能と言えば可能といえますが、2つの高いハードルがあります。

まず1つ目のハードルは、裁判所の運用で事実上「法人と代表者とはセット」で破産申し立てをすることが求められている点が挙げられます。
これは、法人と代表者個人は、別人格であるものの、相互に財産を移し替えることが容易であることから(代表者個人が法人の銀行のキャッシュカードで出金して、代表者個人のキャッシュカードで入金するとか、法人所有の不動産を代表者個人に所有権登記を移転するとか等)、法人が借入れをしたお金や財産が代表者個人に流れて財産隠しがされていないか、逆に個人の財産が法人に流れて財産隠しがされていないかという懸念を裁判所が強く持つことによるものです。

そのため、法人のみ・代表個人のみの破産申立については、裁判所の審理が厳しくなるばかりか、破産管財人の業務量が多くなるとして予納金も高額になります。

また、2つ目のハードルは、破産を検討する法人は、役員報酬の支払いを後回しにしたり(代表者個人が法人に報酬請求権や貸付金債権を有している状態)、運転資金が亡くなりリストラをして経理処理が追い付かない結果使途不明金を役員貸付金(代表者個人が法人に債務を負っている状態)と処理したりするなど、法人と代表者個人との間に請求権・支払義務(債権債務)が存することが大半であることです。

このような状態で、例えば代表者個人のみが破産申し立て、又は、法人のみが破産申し立てをすると、前述のとおり、高い予納金を払わされるばかりか、破産管財人から破産申し立てをしない者に対する貸付金の返還請求を受けるなど、破産手続きの終結まで長時間を要することになります。

法人と代表者個人が同時に自己破産の申し立てする場合には、法人と代表者個人の相互の債権・債務は価値がないことが裁判所や破産管財人からすると明らかであるため、役員貸付金・役員借入金の返還請求や取り立ては問題とならなくなります。

例外的に代表者個人が法人の債務を保証しておらず他に代表者個人の債務が存しない場合や代表者個人の債務が法人の事業とは無関係に友人から頼まれて負った保証債務しかない場合などでない限り、予納金が高額になるという現実問題から、実際には代表者が破産する場合には、法人も申立することがほとんどです。

代表者のみ破産することを検討されているケースでは「裁判所の費用」が高額になることを心配されていることが多いです。

しかし、前述のとおり、法人と代表者個人について同時に破産申し立てをしない場合のほうが、財産隠しを疑われる結果、裁判所への予納金が増額となる可能性が高いです。

また、近畿圏の裁判所では、債権者数も多くはなく、財産も少ないような場合には、弁護士が申立代理人なることなどの条件をクリアすると、「少額管財(しょうがくかんざい)」といって、簡便な方法での法人申立のパターンも用意されています

この少額管財では、予納金も通常の管財事件とくらべて低額です(破産の申立件数としては、少額管財が多いので、「少額管財」が原則形態といってもいいかもしれません)。

代表者個人のみ破産を検討されている場合、どのような廃業手続が考えられるかを一度弁護士までご相談されてはいかがでしょうか。

事実上破綻している法人を放置しても問題がないか?

代表者が法人の保証人となっていないような場合には、債務超過状態にある法人をそのままにすることも選択肢としては考えられます

実際問題として、資金繰りをギリギリまで頑張りすぎた結果、予納金や破産申立費用を用意することができずに、「放置」を選択せざるを得ないケースは多いです(相談にお見えになっても、費用の準備の目途がつかずに、法人・個人ともに「放置」と選択せざるを得ないケースはかなりの件数になります。)。

この場合は、税務署・都道府県税事務所、市民税の部署に休眠届を提出して、地方税(均等割)の発生を抑える対応は必要となります。

法人格は、役員登記を長年しないことによるみなし解散制度により整理されることになります(債務を破産手続で整理するわけではないので、法人格が登記上整理されるだけで、会社法上の法人は残り続けることになります)。

ただし、休眠届を提出しても税務申告を要する場合があったり、自治体によっては休眠届を提出したのに地方税(均等割)の納付を要求される場合があったりなどするため、専門家に相談しながらよく考えて判断することが必要です。

法人代表者が、法人と同じ事業を行う場合には法人の滞納税金の第二次納税義務者となってしまうなど困った問題を引き起こす可能性もありますので、債務超過にある法人の廃業についても、当事務所まで一度ご相談ください。

代表者家族に何か影響はあるのか?

代表者の家族が法人の役員で、かつ法人の連帯保証をしているような場合や無償で事業財産を譲り受けるなど第二次納税義務を負担する場合でなければ、特に影響はありません。

法人の負債の返済を求められることもありません。
ただし、先ほどの食材の委託販売の代表者の箇所で述べたとおり、家族に保証のハンコを押させて、家族から債権を回収しようと目論む債権者が少ないながらも一定数います。

そのため、法人・代表者個人が自己破産する場合には、ご家族には、①ハンコを押すように求められても、絶対にハンコを押さないように言い聞かせる、②債権者が取り立てに来ても玄関には上げないように言っておく(無理やり屋内に入ろうとしたら警察に住居侵入罪で110番通報する)、③仮に玄関に上げてしまっても3回ほど退去するように言ってから警察に住居不退去罪で110番通報するように言っておくなど、事前に対応を説明し、理解してもらう必要があります。

法人破産における代表取締役社長の責任(まとめ)


法人と代表者は別人格であるため、原則として法人破産による代表者の責任は問われません

ただ、上記で解説したとおり、代表者個人のみが破産することは難しいため、法人と合わせて破産申立することが望ましい場合が多くあります。

また、代表者が法人の連帯保証を行っている場合には、法人破産と同時に代表者も破産等借金整理を検討するケースがほとんどです。

当事務所では、どのように代表者の方の生活再建おこなっていくかを考えながら、法人の負債整理についての無料相談をおこなっています。
具体的な事情をお伺いし、今後の対策についてアドバイスいたしますので、まずはお気軽にお問合せください。

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