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自己破産申立において、暗号資産(仮想通貨・ビットコイン等)が問題となるケース


個人破産

2022 . 07.25

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0.はじめに

自己破産申立をおこなう際、裁判所には「資産(プラスの財産)」「負債(マイナスの財産」について報告する必要があります。

最近では、暗号資産の取引がある方からの自己破産に関する相談も出てきました。

今回のコラムでは、こうした暗号資産の取引がある場合の自己破産手続についての注意点について解説いたします。

1.自己破産申立時に、暗号資産が問題となるケース

ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)の所有が原因で、破産手続をおこなうことが難しいと判断されるケースがあります。

そのため、暗号資産をもっている方が、自己破産を検討する場合には、次の点について、検討をしておくことが必要です。

 

「暗号資産がある場合の「自己破産」検討時のチェック項目」

暗号資産の評価額はいくらか、高騰して「債務超過」と認められず破産手続の開始が認められない可能性がありそうか(申立前の検討 「「暗号資産の取引」による借金が原因で自己破産できるか」項目の参照)

借入により暗号資産を購入しているとみられる場合
  破産手続により借金免除を受けられそうか(申立前の検討 「「暗号資産の取引」は免責不許可に当たる」、「裁判所の判断で「借金免除」になる可能性がある」項目を参照)

暗号資産の処分ができそうか(申立後の取扱い 2―2)

1-1.「暗号資産の取引」による借金が原因で自己破産できるか

暗号資産は、その値動きは激しく、こと自己破産申立における申立人所有の財産としての資産価値を把握することは難しいと言えます。

過去の例では、ビットコイン取引所「Mt.Gox(マウントゴックス)」では、ビットコインの価格が、破産申立時点では債務超過の状況で破産手続が開始されました。
しかし、その後価額が上昇し、債権者に100%の配当ができる状況となったため、破産手続は中止となりました。

そのため、資産価値としての把握が困難であるため、破産申立をおこなうにあたって、借金などのマイナスの財産の合計額と暗号資産の評価額や預貯金等を合算したプラスの財産の合計額とを比較して、「債務超過状態」にあるのかを検討する必要があります。

1-2.「暗号資産の取引」は免責不許可に当たる

暗号資産は株式や投資信託とは異なり、実物資産ではない点や価格変動が大きい点から、利益を大きく得ようとする投機的な意味合いが大きいため、暗号資産の購入のため借金をしたとみられる場合には次の「免責不許可事由」に当たる可能性が高いと言えます。

“免責不許可事由”とは

借金の支払い義務の免除が受けられない、借金の理由や原因のこと。

 

免責不許可事由( 破産法252条1項1号 )の代表的な例
1.借金の原因が「無駄遣い」「ギャンブル」
2.特定の債権者にのみ返済(弁済)をした
3.財産を隠す、不当に安い価格で処分した
4.破産手続に協力しない
5.7年以内に破産手続で免責許可を受けている

暗号資産の取引による借金の場合には、上記の「ギャンブル」に当たるため、借金の免除を受けられない可能性があります。

なお、個人破産の申立書の書式には、次の通り「免責不許可」事由の記載箇所があります。

書式例:東京地方裁判所 個人破産申立書(一部抜粋、免責不許可事由に関する記載箇所)

東京地方裁判所_個人破産申立書(陳述書・免責不許可事由)

東京地方裁判所_個人破産申立書(陳述書・免責不許可事由)


書式例:大阪地方裁判所 個人破産申立書(一部抜粋、免責不許可事由に関する記載箇所)

大阪地方裁判所_個人破産申立書(報告書・免責不許可事由)

大阪地方裁判所_個人破産申立書(報告書・免責不許可事由)

 

1-3.裁判所の判断で「借金免除」になる可能性がある

免責不許可事由に当たる行為があれば、借金は免除されないのでしょうか。

実は、「裁量免責(さいりょうめんせき。破産法252条2項)」といって、免責不許可事由に当たる行為があったとしても、「破産手続開始の決定にいたった経緯、その他一切の事情を考えて、裁判官の考えによって免責許可を認めるかどうか判断することができる」とされています。

そのため、上記の「一切の事情」としては、例えば「ギャンブル依存症」の診断結果があり、ギャンブル行為を繰り返してしまったような場合や、「双極性障害」の診断があり、躁状態の時にショップチャンネルで多額の購入を繰り返してしまった、暗号資産の購入のための借入額が全借金に占めるパーセンテージが低いなどの事情が考えられます。

当事務所では、破産にいたるまでの事情をお伺いし、免責不許可に当たる行為があるか、あったとしても裁判所の判断で免責を受けられる可能性があるかアドバイスをおこなっています。

2.申立後に問題となるケース(大阪地方裁判所を例に)

破産申立をおこなった際、破産原因が暗号資産の取引によるものであれば、多くの場合において破産宣告後に「破産管財人(はさんかんざいにん)」と呼ばれる、破産者の所有財産を処分・管理する弁護士が裁判所から任命される可能性が高いと言えます。

任命された場合、破産管財人は暗号資産の取引について調査し、換価処分(お金にかえる)できないかを検討されることになります。

以下は、暗号資産が破産手続において、どのように取り扱われているのかについて、大阪地方裁判所の運用をもとに解説します。
(参考文献「月刊大阪弁護士会2021年4月号 大阪地方裁判所第6民事部『連載 はい6民です お答えします vol.258 ビットコインなどの暗号資産について、現在、破産手続でどのようなことが問題となっているのでしょうか?」』

2-1.自由財産として所持継続は難しい

「自己破産すると財産が手元に残らない」といった話を耳にされるかもしれません。
実際には、破産後の生活を再スタートするために必要な資産については、手元に残すことが可能です。

破産手続において、処分の対象となる財産は「破産手続が開始された時点」のものに限られています。
そのため、「決定年月日時 令和4年4月1日午後5時」といった「●時」という、明確な一時点をもって破産宣告(債務超過であることを認めるもの)がなされます。

破産宣告後に手に入れた財産は、破産者が自由に処分できる財産(自由財産)となります。

自由財産には、次のものがあります。

個人破産において自由財産となるもの
1.破産手続開始後に新たに取得した財産
2.99万円以下の現金
3.差押えが禁止されている財産
4.破産管財人が破産財団(破産者の財産の集まり)から放棄した財産
5.自由財産の拡張(法律で定められた自由財産以外の財産を、自由財産として認めてもらうための手続)により認められた財産

暗号資産は、本コラムの投稿時点(2022年7月)において、現金・預金ではなく、金融商品(株式など)として取り扱われています。

そのため、先の②現金に当たらず、暗号資産は⑤自由財産の拡張は認められないものとされています。

2-2.暗号資産の評価額を裁判所に納めるよう指示を受ける場合もある

破産するにいたった原因が「暗号資産の取引」である場合、その暗号資産の評価額を裁判所に納め(正しくは、財団への組入れ)、破産管財人はこれを受けて財団から暗号資産を放棄することがあります。

2-3.申立人関係者による買取

債権者に配当をおこなうために、破産管財人は破産者の財産を処分して、お金に換えていきます。
しかし、暗号資産は処分のタイミング、相当価格での売却処分及びその判断は難しいことがあります。

例えば、日本での流通がない暗号資産で、実質的な価値がないと思われるようなケースでは、諸事情を考慮し、対象となる暗号資産を買い受けても良いという関係者に売却をおこない、売却代金を破産管財人に引き渡すことになります。
また、破産管財人の目の前でスマホ等を操作して暗号資産を売却して、その売却代金をその場で破産管財人の口座に送金させられることもあります。

なお、申立前に暗号資産の名義を家族などに変更して、申立を依頼する弁護士や裁判所や破産管財人に報告しないことは、財産隠しに当たる可能性があります。
つまり、破産申立後に破産管財人から「暗号資産の名義変更」の行為を否認され、返還を求められることになります。

また、こうした行為は、「財産隠し」として先の免責不許可事由に該当するとして免責を受けられない可能性があるほか、刑罰を受ける可能性があります。

3.暗号資産を所有している場合の破産手続(まとめ)

当事務所で実際に破産申立をおこなった法人代表者において、暗号資産を所有しているケースも増えてきました。
おおよそ預金口座の履歴より、暗号資産の所有が発覚し、申立後に破産管財人から、その取引内容などについて資料の提示を求められることがあります。

こうした場合において、申立前に「評価額」「換価処分(お金に換える)が容易か」「免責不許可事由にあたらないか」などについて検討し、申立に備える必要があります。

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